イメージ画像

膿庖性乾癬の治療

膿庖性乾癬も尋常性乾癬も基本的には同じ治療が行われます。ステロイドや活性型ビタミンD3の他、光線治療や内服薬による治療が選択肢として考えら れます。ただし尋常性乾癬よりも膿疱性乾癬は症状が重いので、初期段階からステロイド薬などの内服薬や点滴治療が開始される可能性があります。更に重症の 汎発性膿庖性乾癬になると入院治療が欠かせませんが、このあたりの経過は慎重に様子が見られます。 症状が部分的にしか出ていない状態でも、膿が分泌されている場合、ガーゼをあて包帯を巻いて肌を保護する対策が施されます。重度の症状が急速に出る為治療 方法も深刻な副作用を伴うものが多く、どういった副作用が出るのかドクターにもしっかり説明して貰った上で治療に取り組む必要があります。

汎発性膿庖性乾癬の治療

乾癬自体まだまだ分からないことが多い厄介な病気ですが、症状が全身に及ぶ特定疾患の汎発性膿庖性乾癬の場合、特に慎重に治療方法を決めなければな りません。汎発性膿庖性乾癬の症状や重症度、年齢、他の病気の有無、アレルギーなど、同じ汎発性膿庖性乾癬でも必要な治療法は異なりますから、総合的に判断が必要です。 アトピー性皮膚炎同様、乾癬も体質改善対策が有効で普段の食生活や運動習慣、身に付ける衣類に気を配る・・・などのアプローチが大切ですが、汎発性膿庖性 乾癬の場合他の乾癬より重症ですから、一般的には入院治療が行われます。 既に作成されている汎発性膿庖性乾癬治療ガイドラインによって治療方針が決められますが、皮膚疾患と言っても汎発性膿庖性乾癬の場合深刻な症状に見舞われますから、とにかく安静を保ち病魔と戦う体力も温存しなければなりません。高い熱が出ている時は解熱剤も投与しなければなりませんし、乱れた水分バランスを整える為に点滴も欠かせません。

全身治療に用いられる点滴薬は生物学的製 剤のインフリキシマブ(商品名レミケード)など。外用薬の軟膏で皮膚のバリア機能の低下を補う治療もオーソドックスな治療方法です。

現在汎発性膿庖性乾癬の治療薬として一般的になっているのは、ビタミンA誘導体のエトレチナートの内服剤で、商品名はチガソンです。汎発性膿庖性乾癬患者 さんのおよそ80%はエトレチナートを内服することで症状が抑えられるそうです。 ただしエトレチナートがなぜ膿庖性乾癬に効くのか、正確な作用メカニズムはまだ突き詰められていないそうです。炎症を引き起こすサイトカインの合成、白血 球の動きを抑制する働きの影響で皮膚細胞が正常に戻されると考えられています。 その他免疫抑制剤のメトトレキサート(商品名リウマトレッツクス)やシクロスポリンが使われたり、PUVAと言う紫外線治療、光化学療法などの光線療法が 実施されることも。こういった治療で効き目が見られない場合や全身状態が芳しくない場合、ステロイド(商品名プレドニンなど)など副腎皮質ホルモン剤治療に切り替えられる可能性があります。それぞれの治療は単独で行われることもありますが、複数の治療方法を同時に行うこともあります。

普段の生活で気をつけること

汎発性膿庖性乾癬の正確な発症原因は解き明かされていませんが、遺伝的要因を引き継いだ人間に食物やタバコ、アルコール、ストレスなどの外的要因が プラスされると発症しやすいと言われています。 ですからごく当たり前のことですが、身体によろしくない嗜好品はできるだけ避けた方が無難ですし既に発症しているなら症状の再発、悪化を防ぐ為にもより健康的な生活を目指さなければいけません。もちろん日常生活を送る上で特別な制限はありませんから、「あれも駄目これも駄目」とストイックになり過ぎるとそ のストレスが負担になることも。 その他風邪や虫歯などの感染症で皮膚症状が進行する可能性がありますから、歯磨きや衛生対策には気を配っておいた方が安心です。外的要因の怪我はもちろん 皮膚への強い摩擦や他の皮膚疾患、過度の日焼けなど皮膚トラブルにも要注意です。 また、妊娠をきっかけに発症することもあり遺伝要因も否定できませんから出産を控えている方は不安に感じるかも知れません。けれど感染症ではありませんか ら、周りの人間に感染る心配はありません。

完治の可能性

汎発性膿庖性乾癬の原因、メカニズムが明らかにされていない以上、根本的な治療方法も確立されていませんから、医療機関側も完治したと太鼓判を押せ ないのが現状です。もし「発症してもこの治療で完全に治る」と明確な治療法が存在するのなら、特定疾患に認定されていませんから。完治が難しいからこそ厄介な難病だと指定されているのです。ただし汎発性膿庖性乾癬の研究はある程度進んでいますから、各症状に対して有効な治療方法もだいぶ判明しています。 患者さん本人の努力と病院での適切な治療によって、症状の進行を食い止めたり発症回数を減らすことは充分に可能です。完治と断定できないものの、症状がお さまり治療をストップしても長期間再発しない状態をキープしている患者さんも少なくありません。

このページの先頭へ