多嚢胞性卵巣症候群と不妊

妊娠自体が難しい多嚢胞性卵巣症候群

ここ数年、妊娠はできるのに繰り返し流産や死産してしまう婦人病に注目が集まっていますが、多嚢胞性卵巣(PCOS)の場合妊娠自体が難しい病気です。

不妊症に悩む

多嚢胞性卵巣(PCOS)を原因とする不妊症も増えている為、メディアでも度々特集が組まれています。

通常赤ちゃんの卵が入っている卵胞は毎月1つずつ成熟していきます。けれど多嚢胞性卵巣(PCOS)の場合卵巣内部で卵胞が次々に形成されてしまう上、卵胞がたくさんあっても中身はほとんど水で未成熟の状態です。

もし卵胞が成熟できたとしても、多嚢胞性卵巣(PCOS)の1症状である卵巣表皮が厚みを増しながら硬化してしまう場合、厚く硬い皮を破くことができずに排卵まで至りません。

多嚢胞性卵巣(PCOS)はおよそ90%の割合で排卵障害が起こり妊娠自体が難しくなりますし、排卵障害が見られる患者さんを調べてみると、20%から40%程度が多嚢胞性卵巣(PCOS)症候群と診断されています。

排卵された卵子と射精された精子が出会って受精しなければ妊娠できません。人工授精や体外受精も含め、パートナーの精子に問題がなく排卵可能な女性なら、卵子が排卵されるタイミングを計算するタイミング指導が行われます。

けれど高確率で排卵障害に見舞われる多嚢胞性卵巣(PCOS)の場合、妊娠できるコンディションではありません。まずは排卵障害の原因を探りながら、適切な治療を施していく必要があります。

月経異常の弊害

多嚢胞性卵巣(PCOS)は不妊と密接に関係している婦人病で、患者さんが妊娠を望むかどうか、希望次第で治療法が異なります。

また年齢が若い場合など不妊症状ではなく、月経障害の治療の為に医療機関を受診するケースが多いようです。

不妊以外の月経障害や肥満、多毛やニキビなどの男性化兆候に見舞われる場合、そうした症状が思春期頃から現れていることも影響し「生まれつきかしら」と放置しているパターンも珍しくありません。

一般的な健康診断で病気が発見される可能性は極めて低く、10代20代の女性が婦人科を受診するのは抵抗も強い筈です。

特に月経異常の中でも無月経や無月経に近い症状の場合、「生理がなくて楽」と異変を感じながらもあえて対策を施さない方も少なくないかも知れません。

けれど若年性無月経の場合ホルモンもアンバランスになることから、骨の健康も害される可能性が高く、精神的にも不安定に恐れがあります。

何年間も無月経状態を続けた影響で新たに不妊症状が引き起こされるケースもありますし、月経異常の弊害は不妊症状以外にも多岐に渡りますから要注意です。

それに「まだ妊娠を希望していないから・・・」と楽観視していると、将来悲しい思いをする可能性大です。

人間の身体は習慣性を備えていますから、長期間無排卵症を繰り返した結果、排卵がない状態を正常だと身体に刷り込まれてしまう恐れがあるからです。

更にPCOSや無月経状態が原因となり子宮が癌化しやすいことも指摘されていますし、年齢や妊娠可能性に関わらず子宮の異常はできるだけ早く改善するのが理想的です。

サイト内検索