多嚢胞性卵巣症候群とインスリン

肥満と卵巣の意外な関係

多嚢胞性卵巣(PCOS)はアドレナーキ説や内分泌の不調和、遺伝的要因説など複数の原因が考えられ、インスリン抵抗性との関係も諸説あるPCOS原因の1つです。

インスリンの注射をする

通常複数原因が重なり合って多嚢胞性卵巣を引き起こされているようですが、ここでは専門家の間でも有力視されているインスリン抵抗性について詳しくお話したいと思います。

卵巣に異常を生じる多嚢胞性卵巣(PCOS)と不妊の関係は分かりやすい筈ですが、PCOSの一症状である肥満や多毛、ニキビなどの男性化兆候と卵巣の関係は連想しにくいですよね。

不妊治療の為医療機関を訪れ、多嚢胞性卵巣と診断されて初めて太りやすい体質や毛深さが卵巣異常のせいだと気づく患者さんも少なくありません。

海外の多嚢胞性卵巣症候群の捉え方

同じ多嚢胞性卵巣(PCOS)でも日本と海外では重要視される症状が異なります。

日本では「多嚢胞性卵巣(PCOS)=不妊症の原因」のイメージが強いかも知れませんが、海外では肥満や男性化兆候を示す方の割合が多く、女性ホルモンに限らず全身的な内分泌疾患として捉えられています。

従って多嚢胞性卵巣(PCOS)の治療も国内では不妊治療寄りのアプローチになりがちでしたが、ここ最近になってインスリン抵抗性(インスリン感受性)と多嚢胞性卵巣の密接な関係性が浮き彫りになってきました。

実際PCOSに効くグリスリンを不妊サプリとして服用し続けた結果、「特にダイエットしていないのに減量できた」なんて意見も多数報告されています。

ダイエットで排卵が回復

同じ多嚢胞性卵巣(PCOS)でもどんな症状が現れるのかは個人差が激しく、肥満を伴う患者さんとそうでない患者さんに分かれます。

欧米とは異なり日本ではこれまで肥満症状より月経障害や排卵障害を緩和するアプローチが優先されてきました。

ところが肥満体型のPCOS患者さんが医師の指導の元ダイエットに取り組んだところ、減量効果と共に排卵の回復が見られたケースも。

多嚢胞性卵巣(PCOS)を改善するには生活習慣の見直しも重要な要素ですから、セルフケアで妊娠に成功している方の対策をチェックしてみるとグリスリンなどのサプリや漢方、規則正しい生活を心掛けていることが勝因になっているようです。

肥満要素だけで判断するのは危険

ご飯を食べると血糖値が上昇しますが、インスリンと呼ばれるすい臓から分泌されるホルモンには上がった血糖値を下げる作用があります。

インスリン抵抗性とはこのホルモンが正常に働かなく状態で、上昇した血糖値を下げる為に通常異常のインスリンが必要になります。糖尿病患者さんのインスリン注射も有名ですよね。

実はインスリンは血糖値を下げるだけではなく、男性ホルモンのアンドロゲンを過剰に分泌させる働きもあり、多嚢胞性卵巣が引き起こされた状態だとその作用が更に強化されることが判明しています。

アンドロゲンは卵胞発育を妨げる原因になりますから、卵巣局所のインスリン感受性が亢進している場合、男性ホルモンの分泌量を正常に保つ為にもインスリン対策が有効です。

要するに肥満要素に関わらず、インスリン感受性が亢進しているかどうか調べる為に、多嚢胞性卵巣(PCOS)の診断が下された患者さんにはインスリン抵抗性の検査も追加しておいた方が無難です。

有効な不妊サプリも登場

痩せていてもインスリン抵抗性が発見された多嚢胞性卵巣(PCOS)患者さんには、メトフォルミンと呼ばれる糖尿病の治療薬を投与されますが、薬の服用によって排卵障害が改善されるケースが続々と報告されています。

最近不妊サプリとして話題を集めているグリスリンサプリで妊娠に成功したり、「思わぬ副作用で肥満が解消!」と喜ぶ方が目立ちますが、メトフォルミンとグリスリンは同じ効果を発揮します。

「思わぬ」ではなく至極当然の結果なのです。グリスリンを単独でPCOS治療に用いるクリニックも注目を集めています。

元々PCOSと肥満症状の関係を重視する欧米では既にメトフォルミンによる治療が一般的ですが、日本でも妊婦でも服用できる程安全性が高く、有効例の多さからもメトフォルミン治療を選択するドクターが増えています。

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