多嚢胞性卵巣症候群とメトフォルミンの効果

メトフォルミン療法は画期的

多嚢胞性卵巣(PCOS)の不妊症状を医療機関で治療する場合、従来はタイミング法、クロミフェン療法、ゴナドトロピン療法、人工授精、体外受精、顕微授精、受精卵凍結保存法などの治療法が一般的でした。

問診される女性

けれど現在、インスリン抵抗性改善薬のメトフォルミンを服用することで排卵率と妊娠率が向上させる「メトフォルミン療法」に注目が集まっています。

既にゴナドトロピン療法にも伴う流産リスクの可能性を減少させたとの報告例もありますし、PCOS治療先進国のアメリカでは元々クロミフェン療法よりもメトフォルミン療法が優先されるケースが多いそうです。

本来メトフォルミンは糖尿病(2型)の基礎治療薬として活躍していますが、インスリン分泌作用を反応させずに血糖値を下げる効果が得られる為、インスリン節約効果も期待できますし、低血糖や体重増加などの副作用もほとんど心配要らない点が魅力的です。

メトフォルミンが持つメリット

不妊専門の医療機関で画期的な治療方法として積極的に取り入れられるメトフォルミンは、驚異的なスピードで医療現場で支持されるようになっています。

確かに総合的な負担の大きい今までの多嚢胞性卵巣(PCOS)治療と比べてもメリットの多いアプローチ方法です。

産婦人科も含め国内の一般の病院ではまだまだメトフォルミンが多嚢胞性卵巣(PCOS)に効くことは知られていないようですが、不妊専門の医療機関では画期的な治療方法として積極的に取り入れられています。

まず経口タイプの薬ですから注射の苦痛、屈辱に絶えなくて済む点も人気を集めている理由の1つですし、糖負荷試験で高インスリン血症の可能性が認められた場合など、不妊治療にしては珍しく保険適用対象になる可能性がある点もメリットと言えます。

また、メトフォルミン療法は自然妊娠率も高く、人工授精に抵抗を感じる方の最後の砦となる可能性も秘めています。

メトフォルミンのデメリット

条件さえ合えば試す価値が大いにあるメトフォルミン療法ですが、多嚢胞性卵巣(PCOS)に有効な効果が現れるのはインスリン抵抗性が病態の原因である患者さんだけです。

多嚢胞性卵巣(PCOS)が引き起こされる原因は複数考えられますし、いくつかの原因が重なり合って発症するケースも珍しくありません。

全ての多嚢胞性卵巣(PCOS)に効果が発揮されるわけではない点は、この療法の弱い部分です。メトフォルミン療法に関心をお持ちの方は、治療が適しているかどうか調べる為にまず血糖値や糖代謝の異常を検査する必要があります。

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