多嚢胞性卵巣(PCOS)とは

卵巣が詰まる未知の病気

多嚢胞性卵巣(Polycystic Ovary Syndrome )とは、卵巣の中に卵胞がたくさんできる女性特有の病気で、略称の「PCOS」でも通じます。

説明する医者

患者さんのMRI写真にも、卵巣内部に大小の丸い卵のようなものが詰まっているのがはっきり写っている筈です。

多嚢胞性卵巣(PCOS)を発症するとスムーズに排卵できなくなり、月経不順になったり生理がストップする可能性があります。

逆に黄体ホルモン分泌不全により、月経過多や出血が止まらなくなるなどの症状に見舞われるケースも報告されています。

男性ホルモンが増えることで毛深くなったり肥満症状が引き起こされる場合もありますが、患者さんの大半は遅かれ早かれ高確率で不妊症に悩まされます。

グリスリンサプリで自力で排卵

最近多嚢胞性卵巣に注目が集まっているのは、PCOSと診断される女性が増えているからです。

オーソドックスな健康診断で見つかる病気ではありませんから、不妊症治療の為に婦人科を受診し多嚢胞性卵巣(PCOS)が見つかるケースが大半です。

中西モナ(山本モナ)さんも多嚢胞性卵巣症候群と診断され、不妊治療を経て先日無事出産に成功しています。

多嚢胞性卵巣(PCOS)は現在テレビや雑誌など、メディアからの注目を集めている病気で、闘病記録を綴るブログもどんどんランキング入りしています。

多嚢胞性卵巣はまだ研究段階で、メカニズムが完全に解明されているわけではありません。どんな症状が現れるのかも個人差がありますし、「妊娠を希望しているかどうか」によって対応方法も変わります。

治療法も複数ありますし、現れる症状次第で処方される薬も異なります。進行性の病気とも言われますから特に出産を望んでいる場合、早急に治療をスタートさせる必要がありますが、自然治癒の例も報告されているまだまだ未知の病気です。

ただしインスリン抵抗性を原因とする多嚢胞性卵巣(PCOS)の不妊症状の場合、グリスリンが効くことが分かっています。多嚢胞性卵巣(PCOS)は「治療法が確立されていない」、「完全治癒はない」、とも言われる一方、生活習慣の改善とグリスリンサプリで自力排卵できるようになり、見事に出産できたケースも報告されています。

多嚢胞性卵巣症候群の診断

多嚢胞性卵巣(PCOS)の診断基準は月経異常や不妊など「臨床症状」、LHの基礎分泌値高値など「内分泌検査所見」、超音波断層検査などで状態を調べる「卵巣所見」の3分野に渡り、それぞれ4項目に渡り該当するかどうか確認します。

病院では基礎体温を記録されるよう指示される可能性が高く、問診では自覚症状も訊かれます。どんな検査を実施するのかは一人一人の症状やドクターの方針によっても異なりますが、甘い水を飲んだ前後に採血し、血糖やインスリン推移をチェックする糖負荷試験で調べるケースも。

一般的には卵巣の超音波検査、血液中のホルモン検査やホルモン負荷試験が診断に使われますが、腹腔鏡下手術で部分的に卵巣を取る顕微鏡検査が必要になることもあるようです。

多嚢胞性卵巣(PCOS)の症状

身体的症状
多嚢胞性卵巣(PCOS)になると90%以上の割合で月経異常が引き起こされます。初経時点で既にPCOSを発症していると、最初から不規則な生理しか経験せず異常に気付けないことも。

生理が不規則なのは軽症で、無月経状態が続いたり過剰月経になったり、とにかく正常な月経が期待できないコンディションです。

排卵障害のせいで正常な月経サイクルを保てませんから、当然不妊問題にも繋がります。 その他肥満症状も約20%の割合で報告されていますし、ニキビ、多毛、低音声、陰核肥大などの男性化兆候が引き起こされるケースも。

月経異常や不妊以外の症状の場合、患者さんはよっぽどのことがない限り多嚢胞性卵巣を疑うことはありませんし、「生まれつき」だと放置するパターンも多いようです。

ただし大注目の不妊サプリ「グリスリン」服用後、妊娠に成功したり月経異常が改善されるのと同時に、痩せやすく太りにくい体質になったり肌質が改善されたとの声も目立ちます。

内分泌症状
多嚢胞性卵巣(PCOS)が疑われる時、病名を確定する為にも内分泌検査を行います。

内分泌検査所見は必須項目の「LHの基礎分泌値高値、FSHは正常範囲」の他、参考項目の「LH-RH負荷試験に対し、LHは過剰反応、FSHはほぼ正常反応」、「エストロン/エストラジオールの高値」、「血中テストステロン又は血中アンドロステンジオンの高値」の合計4項目に渡ります。

多嚢胞性卵巣(PCOS)の場合、血中の卵胞刺激ホルモン(FSH)ではなく、黄体形成ホルモン(LH)の数値が上昇する傾向があり、LHが過剰に分泌されることで男性ホルモンの分泌量も増えてしまい、卵胞閉鎖促進の原因になります。

世界各国の内分泌のエキスパートが研究を進めていますが、メカニズムを明確に解明した専門家は現時点ではいません。

有効な治療法などはある程度分かっていますが、まだまだ未知数が高い病です。ですから長期間辛い不妊治療から不妊サプリによる自然療法に切り替えた途端、赤ちゃんに恵まれるなどのケースも報告されています。

卵巣の変化
多嚢胞性卵巣(PCOS)患者さんは卵胞「嚢胞状変化」、卵巣の「腫大」、「白膜肥厚」変化のいずれか、もしくは全ての症状を伴います。

まず「卵胞の嚢胞状変化」の場合、2~15mmの卵胞が多数病的に形成されてしまいます。1つの卵巣に100個近くの卵胞ができたケースも報告されています。

卵巣超音波診断で卵巣の厚さが比較的薄いタイプか厚いタイプか調べますが、皮が薄い場合小卵胞は全体に散らばって存在し、皮が厚いと小卵胞はネックレスのように規則正しく配列されます。ネックレスサインは排卵障害が重いことを表し、内分泌異常を併発している可能性大です。

また「卵巣腫大」は卵胞の多発と卵巣の皮(白膜)が肥厚する影響で引き起こされる症状で、左右両側に対称性を保ちながら腫大するのが特徴的です。 「白膜肥厚」の原因も黄体形成ホルモン(LH)の過剰分泌で、卵巣の皮の表面が高く盛り上がってしまうので排卵に支障をきたし、白膜内部にアンドロゲンが蓄えられることで卵胞が成熟できなくなります。

自覚症状がほとんどない

多嚢胞性卵巣(PCOS)は卵巣を中心に体内で複雑な連動が繰り返され、放置する限り進行していく病気ですが、この病気が厄介なのは自覚症状がほとんどないことです。

卵巣内部の変化は医療機関で専門の検査をしない限り自分では察知できませんし、不妊症状はともなく、肥満や男性化兆候(ニキビ、多毛、低音声)などの症状を卵巣の病気を結びつけるのは至難の業です。

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